哀悼 港家小柳師匠

五代目港家小柳師匠が先日お亡くなりになりました。
女流芸豪という言葉に相応しい師匠で、私も大ファンの一人でした。

小柳師匠の舞台が楽しみで
木馬亭の番組表の小柳師匠のお名前に丸を付けて
にやにやしながら木馬亭に通っていた時期もありました。
浪曲界に入ってからも小柳師匠のお出番の時は
前座仕事の合間を縫って、必ず舞台を勉強させて頂きました。
一太郎くんと仰って頂き、可愛がって頂きました。

しばらくご病気療養中でいらっしゃり舞台に出ていらっしゃいませんでしたが
ご訃報に段々と哀しみが湧いてきます。

小柳師匠のご舞台は、通好みの地味さがありながらも派手で、芸に色気があり、無駄な所がありませんでした。
木馬亭の超常連のお客様方が小柳師匠の舞台の時、とても真剣に聴いていらっしゃったように感じました。

舞台姿も素敵で、鮮やかな黄緑色のお着物や黒地の派手なお着物などが印象に残っております。
また金地と銀地が裏表になっている扇子❗️
いつもカッコいいなぁと思いながら舞台を見ていました。

小柳師匠と豊子師匠がいいご舞台をされて
気持ち良かったと満足された笑顔で楽屋へ戻られる姿や
秀敏師匠のお三味線での「お染久松」が名演で、お客様が大層喜んでいらしたと、嬉しそうにしていらした日の楽屋風景も思い出されます。

小柳師匠の浪花節は、
登場人物がとても生き生きと輝いています。
芸者清香がハンカチを振って太刀山の応援をするその姿。
宮様に自転車を教える少年の微笑ましさ。
安兵衛の様子を伺いにくる蕎麦屋の主人。
水戸黄門漫遊記の丁の目の半次。
悪妻に裏切られ悲嘆にくれる塩原太助。
深川裸祭りの着物を着せてくれる長屋のおばさん。
一つ一つのシーンが目に浮かんできます。

すべてが木馬亭で夢見させて頂いた私の青春です。

思い出は
胸三寸に忍ばせておこうと思ったのですが
止められず、ブログに書かせて頂きました。

港家小柳師匠に頂きましたご恩情に深く感謝申し上げ、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
本当に有難うございました。