たかが一節されど一節

女流浪曲の、とある名人の師匠の浪曲音源に聞き惚れています。
曲師(お三味線)も名人の師匠です。

一席の浪曲にはいくつか節があり、その節々の終わりは大抵、「アテ節」と言いまして、お客様が思わず拍手を叩きたくなる様な節遣いをして、作品を盛り上げます。

私が聴いていましたその音源の一つのアテ節では
「ゴロ」と言われますが節をコロコロと、その先生は回していらっしゃいます。
名人の三味線あってこその節遣いでもあると思います。
三味線の強く打ち込むバチとバチの間の3秒ぐらいにコロコロ、コロコロ回る節。

どんな風な声の出し方をしているのか、気になりまして、音楽プレイヤーの倍速を半分にして聴いてみました。
すると、また違った音の世界が現れてきました。

普通に聴いていて感動する節遣いですが、
その裏側を垣間見た気がしました。
僅か10秒の間にその先生の浪曲人生が見えてくるような感じがして、心と技が凝縮されて滲み出た節に胸が熱くなりました。
こういう声、節、浪曲、舞台ができるようにならなければならないと思います。

浪曲の魅力は本当に底知れないです。